黒崎二丁目地区市街地再開発準備組合の解散経緯を検証する (3)市とコンサルの手順ミス

市は一時、準備組合の活動からも一歩引いていたが、再開発の機運自体が低下しかねないと判断し、24年度予算で引き続き推進計画作成事業費を計上。競争入札では組合が採用していたアプレイザルジャパンが落札し、活動停滞は回避されたものと思われた。

アプレイザルジャパンが作成した下層を商業施設、上層を住居とする案をもとに製作された環境計画支援VR(黒崎二丁目地区市街地再開発準備組合)

アプレイザルジャパンが作成した案をもとに製作された環境計画支援VR(黒崎二丁目地区市街地再開発準備組合)

ところが、市とアプレイザルジャパンが手順ミスを犯す。推進計画の作成は、市の委託を受けた業者が権利者である組合の意向に沿って実施するのが通常の手順だが、組合抜きで勝手に進めてしまった。

アプレイザルジャパンは作成した案をもとに環境計画支援VRの制作をパナソニック(門真市、TYO:6752)に発注。東京都港区にあるパナソニック東京汐留ビルに設置された「サイバードーム」で、実際の大きさの街の疑似体験などを実施した。

手順ミスの責任を負うべきは市かアプレイザルジャパンか、それとも両者かは不明だが、組合側は成果物に拒否反応を示した。一部の地権者の不信感は決定的なものとなり、組合の活動は停滞に陥った。

アプレイザルジャパンとはどのような会社なのか。国土交通省の土地総合情報ライブラリー内にある不動産鑑定業者情報によると、代表者は竹下憲治氏で、所在地は福岡市中央区舞鶴一丁目9-3の朝日プラザ天神1105号室。

アプレイザルジャパン所在地の朝日プラザ天神

東京都千代田区にも事業所があるため、登録は福岡県知事ではなく国土交通大臣第0000277号。初回登録は平成11年10月1日。平成26年は56件の不動産鑑定評価を実施している。

竹下氏はこれまで、北九州市内で若松A地区(ベイサイドプラザ若松)、八幡駅前地区(さわらびガーデンモール八幡)、室町一丁目地区(リバーウォーク北九州)などの権利調整や管理運営に関するコンサルティングを担当した。

アプレイザルジャパン所在地の朝日プラザ天神1105号室にはほかに、いずれも竹下氏が代表を務めるAJ経営法務会計事務所・竹下憲治税理士事務所、特定非営利活動法人(NPO法人)福岡県市街地再開発協会などが所在する。

同NPO法人は従前より存在した協会を改組したもので、設立登記は平成16年8月25日。法人役員は全員無報酬で、竹下氏以外に理事として植田裕氏、中村健一郎氏、中村秀紀氏、廣原浩一氏、監事として福本浩二氏が名を連ねる。

アプレイザルジャパンと組合が不仲となり活動停滞が長期化する中、平成24年7月までに新天街側街区の大型土地所有者数人が組合から脱退。この時点で街区全体の整備計画が崩壊した。

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