二井知事が退任 山本県政幕開けは来月

二井関成山口県知事が21日、任期満了に伴い退任し、4期16年間の二井県政は幕を下ろした。第46代(公選第18代)知事として新たに就任する山本繁太郎氏は22日に初登庁したが、体調不良のため9月7日までの療養を表明した。山本県政の本格的な幕開けは来月となる。

二井県政4期16年の出来事を振り返る。

1996年(平成8年)

  • 第42代(公選第14代)知事に二井関成氏。
  • 関門シティ電車運行実現期成同盟会を設立。
  • 山口県立萩美術館・浦上記念館が開館。

1997年(平成9年)

  • 山口宇部空港—新千歳空港便が週4往復に増便。那覇空港便が週3往復で就航。
  • 宇部新都市G地区がまちびらき。
  • 宇部港東見初港湾整備事業が着工。

1998年(平成10年)

  • 山口未来デザイン21、ジョーフルロード構想を策定。
  • 山口宇部空港—那覇空港便が就航から1年で運休。
  • 徳山下松港の徳山コンテナターミナルにガントリークレーン2号機を設置。

1999年(平成11年)

  • 山陽新幹線厚狭駅開業。関門シティ電車構想は遠のく。建設費のうち17億円は宇部市など周辺自治体が負担。
  • 台風第18号が宇部市に上陸。山口宇部空港の防波堤が破堤し空港全体が冠水。
  • 山口県産業技術センターが開館。
  • 岩国港にタイヤマウント式クレーンを設置。

2000年(平成12年)

  • 山口宇部空港の3代目旅客ターミナルビルを供用開始。
  • 第43代(公選第15代)知事に現職の二井関成氏。2選。
  • 国道9号山口バイパス朝田地区4車線化。
  • 角島大橋が開通。
  • 徳山下松港晴海埠頭に県下最大級のマイナス14メートル岸壁を供用開始。
  • 三田尻中関港にガントリークレーンを設置。
  • 山口県立劇場「ルネッサながと」が開館。

2001年(平成13年)

  • 山口宇部道路の嘉川インターチェンジ—宇部東インターチェンジ間を4車線化。事業費増大で償還期間を22年延長。
  • 山陽自動車道宇部下関線の宇部ジャンクション—下関ジャンクション間が開通。
  • 山口宇部空港の新滑走路(2500メートル)を供用開始。
  • 国道2号小郡道路の山口南インターチェンジ—陶インターチェンジ間高架延伸。
  • 山陽自動車道山口南インターチェンジがフル化。
  • ジャパンエキスポ・山口きらら博(21世紀未来博覧会)を開催。

2002年(平成14年)

  • 徳山下松港の徳山コンテナターミナル拡張。
  • 山口宇部空港—新千歳空港便が運休。羽田空港便は日本航空が乗り入れ、ダブルトラック化。

2003年(平成15年)

  • 宇部港、徳山下松港が総合静脈物流拠点港に選定。
  • 小郡駅が新山口駅に改称、徳山駅とともに「のぞみ」停車駅となる。
  • 宇部線の快速「のぞみリレー号」が運転開始。

2004年(平成16年)

  • 山口線の快速「やまぐちライナー」が運転開始。
  • 国道191号萩拡幅4車線化。
  • 第44代(公選第16代)知事に現職の二井関成氏。3選。

2005年(平成17年)

  • 国道2号花岡拡幅4車線化。
  • 周南大橋が開通。
  • 山口宇部空港の運用時間を14時間に延長。最終便の時刻繰り下げで利便性高まる。
  • 彦島有料道路を無料開放。
  • 山陰本線の特急「いそかぜ」が廃止。

2006年(平成18年)

  • 国道191号下関北バイパスが一部開通。
  • 国民文化祭・やまぐち2006を開催。
  • 宇部港にタイヤマウント式クレーンを設置。

2008年(平成20年)

  • 国道2号厚狭・埴生バイパスが全線開通。
  • 山陰自動車道明石インターチェンジ—三隅インターチェンジ間が開通。県内初の山陰道。
  • 国道188号岩国南バイパスが全線開通。
  • 第45代(公選第17代)知事に現職の二井関成氏。4選。
  • 山陽自動車道山口ジャンクションがフル化。

2009年(平成21年)

  • 宇部線の快速「のぞみリレー号」と山口線の快速「やまぐちライナー」が廃止。
  • 国道188号柳井バイパスが開通。

2010年(平成22年)

  • 萩有料道路を無料開放。建設費の未償還額12億円は萩市と県が1対9で負担。
  • 岩国港、宇部港が重点港湾に選定。
  • 国の出先機関の権限委譲を目指す「九州広域行政機構」(仮称)への不参加を表明。

2011年(平成23年)

  • 新・県政集中改革プランを策定。三公社廃止を決める。
  • 日本航空が山口宇部空港—羽田空港便を増便。羽田空港便は全日空と合計で1日18便に。
  • 山口宇部道路の朝田インターチェンジ—嘉川インターチェンジ間が開通。
  • 宇部港、徳山下松港が国際バルク戦略港湾(石炭)に選定。
  • 宇部湾岸道路の西中町インターチェンジ—藤曲インターチェンジ間が開通。
  • 山陰自動車道萩インターチェンジ—明石インターチェンジ間が開通。
  • 国道2号小月バイパス、戸田拡幅4車線化。
  • 小郡萩道路が全線開通。
  • 第66回国民体育大会を開催。
  • 第11回全国障害者スポーツ大会を開催。

2012年(平成24年)

  • 県道路公社の廃止に伴い山口宇部道路の嘉川インターチェンジ—宇部東インターチェンジ間を無料開放。借入金償還には三セク改革推進債を投入。
  • 第63回全国植樹祭を開催。

二井知事は21日の退任式で、「バブル崩壊後のいわゆる『失われた20年』と呼ばれた時期と重なり、県政も、荒波を進む船のごとき、極めて難しい航海だった」と語ったが、その言葉の通り社会情勢としては非常に厳しい条件下の16年だった。

二井氏は前任の平井龍知事の意向にそわない形で知事選に立候補し当選*した人物であるが、もともとは平井氏のもとで県の要職を務めた立場であるため、政策面では平井県政を引き継ぐ形をとり、「県勢をリードする県央中核都市の形成」(=山口市優遇政策)に力を注いだ。

平井氏と同じく元自治官僚である二井氏は、「県民力の向上」を掲げ、多数の大型イベントを誘致した。イベント開催とインフラ整備をセットで実施する「イベント屋」の手法は注目を集めたが、セットで整備されたインフラがイベント終了後も全て有効に機能しているかという点では疑問が残る。

2001年(平成13年)に開催したジャパンエキスポ・山口きらら博(21世紀未来博覧会)では、入場者数の目標200万人に対して実績は約251万人を記録し、博覧会そのものは成功裏に終わった。しかし、会場となった阿知須干拓地のうち、民間活用ゾーンの用地は現在も塩漬けのままである。

県が主導で開催する大型イベントは、県立の施設がメインの会場となる。県立施設は山口市に集中しており、必然的にセットの事業は山口市を中心に実施される。二井氏は就任以来16年間、イベント開催を口実に県央地域のインフラ整備に邁進したが、他地域は置き去りとなった感が否めない。

新たに知事に就任した山本氏は「二井県政の後継者」として登場したが、「瀬戸内側の産業再興」と「四境地域」の振興を掲げており、その主張内容はこれまでの県央優遇県政とは一線を画す。地域の捉え方も興味深い。二井氏は県央に中核都市をつくるため、「山口・防府地区」と2つの経済圏を無理矢理融合させようとしたのに対し、山本氏はこれらの地域をそれぞれ単独で見ている。

四境地域の振興は、すなわち周辺大都市圏との連携も含まれる。無理に県央拠点化を急ぎ全体が共倒れするよりも、周囲の発展を取り込むほうが現実的である。実は、この考え方は二井県政時代にも「山口未来デザイン21」で示されていたが、実効を伴わなかった。県央優遇政策からの急転換は県庁組織の抵抗も予想されるが、山本氏には元建設官僚の手腕も生かして有言実行で取り組んでほしい。

注釈

  • * : 当時、平井氏は6期目の出馬を模索していたとされる。二井氏にある種裏切られる形となった平井氏は、知事選で二井氏の対立候補である吹田愰氏(新進党・公明推薦)の支援に回り、一方でごたごたに関わるのを嫌った自民党本部は両候補とも推薦せず、選挙は保守分裂戦となった。二井氏は安倍晋三氏や河村建夫氏の支援を受けて大票田の宇部・下関を押さえ、知事選を制した。

(記事編集:

おすすめ記事(Google提供)

宇部ジャーナルの最新記事