宇部興産、堺工場のカプロラクタム生産設備を停止へ

宇部興産宇部本社 写真撮影:宇部ジャーナル

宇部興産宇部本社(撮影:宇部ジャーナル)


宇部興産(UBE、宇部市、TYO:4208)は5日、同社堺工場(堺市)のカプロラクタム生産設備を平成26年3月末をもって停止すると発表した。同工場は同社の主力拠点のひとつで、カプロラクタムの生産能力は全体の4分の1を占める。カプロラクタムは中国などで新規メーカーの参入が相次いだことによって需給バランスが崩れ市況が悪化していて、収益性の改善が課題となっていた。

ナイロン原料であるカプロラクタムは同社の主要生産品のひとつで、同社は昭和30年に製造、販売を開始した。同社のカプロラクタムは品質の高さと安定した供給力が評価され、現在ではビーエーエスエフ(BASF、独ルートヴィッヒスハーフェン、LSE:BFA)、ディーエスエム(DSM、蘭ヘールレン、Euronext:DSM)に次ぎ世界第3位のシェアを誇る。

日本国内におけるカプロラクタム事業は、三菱化学(東京都千代田区、TYO:4010)が平成22年に撤退するなど、縮小傾向にある。宇部興産は大きなシェアを背景に高収益を続け、平成24年3月期の決算ではカプロラクタムが主力の「化成品・樹脂カンパニー」が同社の売上高6386億円のうち約4割にあたる2310億円、営業利益では460億円のうちおよそ半分にあたる229億円を稼ぎ出した。

しかし、カプロラクタムは近年の世界的な景気減速で需要が伸び悩んでいる一方、中国石油化工(シノペック、中国北京市、SSE:600028)など新興メーカーの相次ぐ増産で市況が崩れ、さらに原料のベンゼンや副原料の価格が高騰し宇部興産のカプロラクタム事業は採算が悪化。平成25年3月期の業績予想では化成品・樹脂カンパニーの営業利益を当初79億円、今回の減産決定を受けて5日にはさらに38億円へと下方修正した。

堺工場は宇部興産が世界4箇所で操業しているカプロラクタム生産拠点のひとつであるが、他の3工場と比べて製法やLNGに依存した副原料を用いていることなどから製造コストが高く、同工場の収益改善は以前より同社の課題となっていた。同社は「昨今の事業環境の変化は改善策によって対応可能なレベルを超えており、(堺工場は)将来にわたって採算改善が見込みがたい」と判断、同工場のカプロラクタム生産設備は一定期間の操業後に停止し設備破棄することを決めた。

同設備の停止に伴い、同工場内の関連する誘導品製造設備等も順次停止、破棄していく予定。停止対象となるのは、カプロラクタム(年産10万トン)、アンモニア(年産20万トン)、液化炭酸(年産9万9千トン)、硫安(年産16万トン)、1,6-ヘキサンジオール(年産5千トン)の5設備となる。いずれも平成26年3月末をもって停止する。

同社のカプロラクタム生産は、宇部、スペイン、タイの3拠点に集約される。堺工場は、需要拡大が続くリチウムイオン電池用セパレーターなど高付加価値製品の生産拠点として再生を図る。停止予定の設備で生産してきた各製品の顧客に対しては、同社の他の製造拠点からの供給などで代替調達先の確保に最大限の協力をするという。従業員の雇用は同工場内での配転で確保し、他地区への大規模な異動は実施しない。

今回の停止で、同社は平成25年3月期決算にて連結・個別で126億円の特別損失を計上する。この中には固定資産の減損損失、および現時点で見込まれる既存設備の廃棄に係る諸費用等を全て含む。固定資産の減損損失については、同日公表した平成25年3月期第3四半期決算に計上している。また、この特別損失が業績に与える影響については、業績予想修正に織り込まれている。


(記事編集:

おすすめ記事(Google提供)

宇部ジャーナルの最新記事