下関駅ビルはJR西日本変革の象徴となるか

西日本旅客鉄道(JR西日本、大阪市北区、TYO:9021)は、下関駅ビルに開業する商業施設「リピエ」の概要とテナント一覧を明らかにした。リピエの店舗面積は約2500平米とコンパクトだが、従来の同社の姿勢からは考えられないほど力を入れている

同社は発足以来、私鉄との競合が激しい大阪を中心とした「アーバンネットワーク」エリア内と、航空路線と競合する山陽新幹線に集中的に投資し、その他の在来線区間は蔑ろにする傾向があった。アーバンネットワーク内であっても、私鉄との競合の少ない大阪環状線等の路線では、新型車の導入や駅設備の改良といった設備投資には消極的だった。

転機となったのは、一昨年の社長交代。新社長の真鍋精志氏は、先述の大阪環状線や、分割民営化以来旧国鉄時代の車両を使用し続けてきた広島地区への新型車導入など、競合はないが需要が見込める線区への積極的な設備投資のほか、非鉄道事業の収益拡大を打ち出した。下関の駅ビル開発は、その一環である。

真鍋氏は、現在利用が少なくなっている下関から萩に至る山陰線に、風光明媚な響灘の景観を活かして、関西や首都圏など広域から集客できる観光ルートを整備したいとも語っており、不採算部門は徹底して切り捨てる従来の同社の姿勢から着実に転換しつつあると言える。

このような姿勢は、民営化以来、不採算区間への観光列車投入や拠点駅での商業施設開発で収益を拡大しているJR九州の後追いをしているようにも見える。ただ、JR九州の場合は、都市規模に対して過大な規模の商業施設を駅構内に設置し、結果的に既存市街地への流動を損なっている事例も見受けられる。

下関駅ビルでは駅だけに留まらず、下関の街全体の再生を目指して、商業施設そのものの規模はコンパクトに抑えた。一方で、全国初出店の生活雑貨店をはじめ、既存施設にはない魅力的なテナントを選定することで周辺施設との回遊性が高まるよう努めている。

少子高齢化や過疎化の進行により沿線人口の減少が続く中、先細りを理由に不採算の鉄道事業部門を切り捨てるだけでは、事業の発展は望めない。JR西日本は、それぞれの地域の実情に見合った適切な投資活動を行うことで、持続的な成長を模索している。


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