下関小倉直結新ルート、実現へ加速 10年ぶり促進大会

下関と小倉を直結する新ルートである下関北九州道路(関門海峡道路)整備促進大会が6日、シーモールパレス(下関市)で開催された。同大会の開催は平成16年以来10年ぶりで、関係自治体や経済団体などからおよそ150人が出席し、事業化に向けた調査や事業スキームの検討を進め、10月中旬の政府要望で予算確保を求める決議を採択した。

下関北九州道路は、関門都市圏の重要拠点である下関と小倉を直接結ぶ新たなルートとして、平成6年に地域高規格道路の候補路線に指定された。その後、全国複数箇所に長大橋を架ける海峡横断プロジェクトのひとつに組み込まれ、地元経済団体などが平成17年の完成を目指して本格的に要望活動をはじめた。

同プロジェクトは東京湾口、伊勢湾口、紀淡海峡、豊予海峡、天草諸島など、関門以外は各箇所ごとに数兆円規模の莫大な予算がかかる計画群で、公共事業批判が巻き起こる中で格好の攻撃対象となった。平成20年に当時の福田康夫内閣が事実上の凍結を決定すると、山口県の二井関成知事(当時)もこの動きに追従して、それまで毎年計上していた調査費用の計上を打ち切り、政府要望項目からも削除した。

しかし、両岸の人口も少なく、橋を渡っ先に大需要があるわけでもない他の計画と異なり、関門は両岸に広がる大都市圏の都心部を結ぶ都市内幹線道路であり、そして本州と人口1300万人を超える九州を結ぶ大動脈としての役割も併せ持つ。調査費計上や政府要望が打ち切られるなど行政の動きが鈍る一方、地元の経済団体で構成する関門海峡道路建設促進協議会は、平成21年以降も毎年独自に要望活動を続けてきた。

転機は平成24年の山口県知事選挙だった。関門を結ぶ新ルートの整備を掲げた国土交通省出身の山本繁太郎氏が知事に当選し、山口県は平成25年度予算で5年ぶりに調査費を計上。山本氏の呼びかけに対して、下関市、北九州市の両岸2市、そして福岡県もそれぞれ予算を計上して調査を再開し、各自治体の政府要望にも再び盛り込まれるようになるなど、計画は息を吹き返した。

関門都市圏は、広域自治体を統括する庁(都道府県庁)を擁しない大都市圏としては我が国最大の規模であり、そして我が国で唯一、日本海側と太平洋側に面する極めて優位な立地にありながら、主要な市街地が海峡により分断されていることで、その潜在力を十分に発揮できていない。

下関市と北九州市の両市役所間は直線距離でわずか10キロ。道路で結ばれた普通の市街地であれば20分程度で到達できる。しかし、現在のルートは東側に大きく迂回した上に、この地域を通過するだけの広域交通と都市内交通が輻輳して混雑が激しく、移動に1時間近くかかってしまう。東京と名古屋の間に、東名高速道路も中央自動車道も無く、北陸経由でしか移動できないような状況である。

それでもなお、新ルートには莫大な費用がかかるという批判がある。海峡横断プロジェクトが頓挫した背景には、数キロから10キロ以上にわたる長大な橋梁や海底トンネルを整備し、各箇所ごとに数兆円を注ぎ込む無謀な資金計画があった。一方、下関北九州道路の海上距離は約2キロと短く、建設費もトンネルの場合は概ね1千数百億円程度と、他の構想とは次元が異なる。

今回、大会に出席した小川洋福岡県知事は、下関北九州道路の経済効果について、現在の関門トンネルと同じ150円の通行料を徴収する場合でも、建設費を除外して約2070億円に上るとの試算を明らかにした。通常の公共事業として新規採択時事業評価を行えば、十分に事業採算性があると判断できる試算結果だ。

大会の最後には、下関北九州道路整備促進期成同盟会副会長の中尾友昭下関市長が決議文を読み上げ、全会一致で採択された。決議をもとに、今年10月中旬にあらためて政府への要望を実施する。


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