中心街に進出予定だったルートインが郊外に 街の興亡は地権者の意欲次第

ルートインジャパン(東京都品川区)が、宇部市郊外の妻崎開作に約200室規模のビジネスホテルを計画していることが判明した。ルートインは初めから郊外ありきで出店を計画したわけではなく、当初は宇部市中心部地域に出店する予定だった。

大和中央店跡地の一部に建つ賃貸マンション(宇部ジャーナル)

大和中央店跡地の一部に建つ賃貸マンション(宇部ジャーナル)

ルートインは8年前、宇部市中央町2丁目の大型スーパーマーケット「大和中央店」跡地への出店計画を進めていた。真締川西側の中央町地区で最後の大型店となっていた大和中央店が平成19年末に閉店し、跡地への進出企業として名乗りを上げた。

当時の計画は複数の地権者から約3千平米の敷地を借り上げ、鉄筋コンクリート造10階建、約150室のホテルを建設するというもの。

宇部市と国は、市街地の土地の共同化・高度化に寄与するものとして優良建築物等整備事業に認定し、それぞれ5900万円ずつ、合計1億1800万円をルートインに助成した。

ホテル側は平成21年末から22年春ごろの開業を目指し準備を進めていたが、一部の地権者との交渉が難航。着工が遅れる中、平成20年9月にリーマンショックが発生するなど市況が悪化。翌年、計画断念に至った。

活用されず放置状態の銀天街側敷地(宇部ジャーナル)

活用されず放置状態の銀天街側敷地(宇部ジャーナル)

大和中央店跡地はその後、最も持ち分の大きい地権者のセイシン企業(東京都渋谷区)会長・植田玄彦氏が単独開発に踏み切り、鉄筋コンクリート造地上12階建・総戸数54戸の賃貸マンションが建設された。

植田氏以外の地権者の土地は、宇部中央銀天街に面する区画が更地のまま放置、その他は平面駐車場となるなど、有効活用されていない。

郊外の大型商業施設の影響で中心街から客離れ、という説は商店街の衰退理由としてしばしば喧伝される。しかし、商業者であるならば、競合相手の存在を理由にあげる前に、自らの経営戦略を検証し直すのが先ではないか。

広い駐車場を持つ大型商業施設でも、魅力的なテナント構成やイベント開催による集客を怠れば、集客力は低下し他の施設との競争に敗れる。黙っていれば買い物客や出店希望者が殺到すると考えるのは誤りだ。

仮に、宇部市周辺の郊外に立地するフジグラン、ゆめタウン、サンパークなどの商業施設が全て存在しなかったとして、中心市街地は集客力を維持できたのか。

真締川東側の常盤通り・新天町一帯では、新天町一丁目西地区で市街地再開発事業による百貨店誘致が計画されるなど、積極的な土地利用を図り集客力向上を目指す動きがあった。

一方、西側の中央町では権利者の意向がまとまらず、行政が提案する都市基盤整備も進まなかった。自ら動かないばかりか、新天町側が計画した各種開発にことごとく反対し、中心市街地全体の魅力低下を招いた。

中央町が最も栄えていたのは、宇部の歴史の中で戦後の一時期に過ぎない。途中から入ってきた者が我が物顔で大手を振るい、意欲のある者を妨害してばかりいるような企業はやがて淘汰される。都市間競争においても同じである。

中心市街地内の勢力図が真締川の東側優勢へと塗り変わっているのは、宇部市の通行量調査など様々な指標からも明らかだ。中央町・宇部中央銀天街こそが頂点だと威張り続けるのは止めて、どうして現状に至ったか考え直す時が来ている。


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