黒崎二丁目地区市街地再開発準備組合の解散経緯を検証する (4)脱退相次ぎ空中分解

大型土地所有者の脱退に伴い、組合は残る地区面積5500平米における計画の再検討を始めた。ふれあい通り側街区の1期工事と、規模を縮小した新天街側街区の2期工事に分けて、再開発ビルの整備を行う方向で一時は検討が進んだ。

しかし、新天街側街区の地権者の多くが再開発の意欲を失い、さらに脱退者が続出。井筒屋が過半の土地を所有しているふれあい通り側街区のみ先行実施することになった。

組合施行による市街地再開発事業が国庫補助採択を受けるための要件は、地区面積5千平米以上。ふれあい通り側街区のみでは要件を満たことができず、国庫補助の対象外となった。

組合の理事会で意見を求められた応援団関係者は、1千平米以上が要件の個人施行に切り替えるなど、市街地再開発事業を継続する方策を提案した。最終的にはアプレイザルジャパンの意見もあり、優良建築物等整備事業の適用に落ち着いた。

優良建築物等整備事業は法的手続きが簡略化されるため事業の進捗は早くなるが、補助メニューは少なくなる。また、都市再開発法に基づき事業主体の法人格が担保される市街地再開発事業とは税法上の扱いも異なり、有利な制度が使いにくい。

北九州市議会建築消防委員会の配布資料に記載された平成28年4月時点の組合加入状況(北九州市建築都市局)

北九州市議会建築消防委員会の配布資料に記載された平成28年4月時点の組合加入状況(北九州市建築都市局)

組合には一時、設立時不参加だった権利者も含め殆どの関係権利者が加わり、多い時で160万円の組合費を集めるなど、他地域と比べても活発な活動を展開していたが、一連の紛糾を経て平成27年春には加入者が12人に減少した。

さらにふれあい通り側街区からも数人が脱退し、平成28年4月時点では関係権利者のうち土地所有者が13人中6人、借地権者が5人中1人、借家権者が15人中1人、総数33人中8人しか残っていなかった。

こうして黒崎二丁目地区は市街地再開発事業の実施を断念し、平成28年5月23日の総会で解散を決議した。

余談だが、平成26年2月17日、同組合の視察を受けた岩国市の岩国駅前南地区市街地再開発準備組合は、半年遅れて設立された黒崎に追い越されまいと意気込んでいた。結果的に黒崎は追い越す前に空中分解してしまった。

応援団関係者曰く、「市街地再開発事業は沈静化してから再度立ち上げるまでに10年かかる」という。黒崎二丁目地区の整備は黒崎副都心全体の集客力に関わるものであり、優良建築物等整備事業を適用する以上、早期の事業化が求められる。

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