小倉興産1号館解体、所有者は多久市の「旅館業」 隣接地は賃貸マンション建設予定

北九州市小倉北区浅野二丁目にある小倉興産1号館(UR都市機構浅野団地)が解体されることがわかった。敷地は工事用の仮囲いで覆われ、既に作業が始まっている。25日時点の不動産登記情報等によると土地・建物はU.S.K(多久市)が所有しており、JR小倉駅新幹線口にも近い立地だけに跡地利用が注目される。

小倉興産1号館の権利関係

登記上の敷地は南北2つに分かれ、北側(地番2-415)が1724.29平米、南側(地番2-414)が1761.00平米、計3485.29平米。一帯は浅野小倉製鋼所(後の住友金属工業)が埋立て、昭和6年7月28日に小倉築港(後の小倉興産)へ贈与した。建物は鉄筋コンクリート造陸屋根6階建、昭和36年12月7日に小倉興産が新築した。

小倉興産は平成17年にアパマンショップグループ傘下となり、平成18年7月1日のアパマンショップホールディングス(アパマンショップHD、東京都中央区、TYO:8889)発足に伴い本体に吸収され消滅。1号館の所有権は平成21年7月13日、アパマンショップHDに移転した。以降、旧小倉興産のビル群は売却が進められた。

1号館は平成23年9月15日、中村工務店(北九州市小倉南区)に売却。同年10月7日、さらにU.S.Kへ売却された。この後平成24年8月31日に福岡県の差押、同年11月5日・平成25年10月9日に北九州市東部市税事務所の参加差押が登記されているが、平成27年4月1日までにいずれも解除・抹消されている。以上が所有権(甲区)の推移となる。

U.S.Kは平成22年4月15日設立。資本金は800万円で、目的は「旅館業」「飲食店の経営」「前各号に附帯する一切の業務」。所在地は多久市内の歯科医院と同じで、代表取締役の内野惠子氏は調剤薬局を展開するうちの(北九州市八幡西区)代表取締役を兼任。取締役の内野早喜氏は指定障害福祉サービス事業者・つばさ(同市門司区)の代表取締役。

所有権以外の権利(乙区)については、昭和35年7月11日に日本住宅公団が土地の賃借権を存続期間60年で設定している。平成21年7月13日にはアパマンショップHDの納税猶予に関し財務省が抵当権を設定したが、完納に伴い平成23年4月8日に抹消された。他に抵当権設定仮登記等が数度行われているが、平成28年1月6日までに全て解除・抹消済。

市街地再開発事業の停滞と今後の展望

1号館敷地を含む一帯ではかつて小倉駅北口東地区市街地再開発事業の実施が計画され、平成8年12月に準備組合を設立。事業区域は当初約2ヘクタールだったが、平成14年3月に約1.3ヘクタールへ縮小。推進主体だった小倉興産が消滅するなど逆風を受けつつも、平成22年頃までは商業・業務・住宅の複合施設建設を目指し活動を続けていた。

(仮)アクシオ北九州の完成予想図(アンサー倶楽部)

(仮称)アクシオ北九州の完成予想図(アンサー倶楽部)

しかし、最終的な事業計画が纏まらず停滞していた中で平成24年3月、区域内南東角に12階建44戸の賃貸マンションが完成。区域全体での事業実施は困難となった。今年2月には1号館南側の小倉興産エネルギー東浅野サービスステーション(SS)跡地売却の入札が行われ、地場不動産業者のアンサー倶楽部(北九州市小倉北区)が落札した。

同社は近年賃貸マンションの「アクシオ」シリーズ展開を進めており、平成27年2月には小倉都心部の魚町四丁目、旦過市場近くに13階建60戸の「アクシオ小倉」が完成、小倉北区内に10階建36戸の「アクシオ三萩野」を建設中。東浅野SS跡地には平成30年春までに14階建約90戸の「(仮称)アクシオ北九州」を建設する予定。

また、1号館北側には平成24年3月に15階建86戸の賃貸マンション「グランエスパシオ浅野」が完成している。1号館敷地の用途地域は商業地域で、指定容積率は400パーセント。市街地再開発事業が計画されていた経緯もあり、昨年7月の指定範囲拡大以前から都市再生緊急整備地域に指定されているが、支援措置の要件は0.5ヘクタール以上のため対象外。

敷地東側の旧浅野町緑地(浅野町緑道)については、昨年10月30日の第63回都市計画審議会で新スタジアム隣接の新緑地と引き換えに廃止され、民間に売却予定。緑地跡と一体的に開発できれば道路部分も含めて0.5ヘクタール以上の事業となるため、都市再生緊急整備地域の要件を満たし、各種支援措置や自由度の高い計画提案が可能となる。

小倉駅北口東地区の概況(グーグルマップ)


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