常盤公園の白鳥、29年度復活へ (1)殺処分までの経緯

宇部市は9月29日、同市のシンボルでもある常盤公園の白鳥復活に向けた取り組みとして「白鳥復活市民募金」を開始した。募金箱は市役所本庁舎、北部総合支所、各市民センター・ふれあいセンター、常盤公園内施設等に設置し、平成29年度の復活を目指す。

常盤公園のハクチョウは、昭和32年7月7日に飼育が始まった。最初に放たれたのはオランダ・ロッテルダムから到着したコブハクチョウ20羽だが、繁殖が進み3年後には100羽を超えた。36年には鹿児島市の動物園に一部のハクチョウを譲渡した。

41年に宇部空港が開港すると、東京行きの第一便にはハクチョウ2羽も「搭乗」した。このハクチョウは皇居のお堀に放され、その後も複数回寄贈が行われた。現在は日本国内や海外の動物園・公園等で、常盤公園のハクチョウの子孫が飼育されている。

半世紀以上に渡り市民に愛されたハクチョウだが、平成23年2月、突然姿を消すことになる。2月9日、常盤公園内で死亡したコクチョウの高病原性鳥インフルエンザ感染が確認されると、市は即日、ハクチョウ類を含む白鳥湖の全ての飼養鳥の殺処分を決定し、2日間で処分を終えた。

環境省は同年10月26日、「動物園等における飼養鳥に関する高病原性鳥インフルエンザへの対応指針」を通知。通知を受け、同年11月に市が策定したマニュアルでは、原則として感染鳥のみ処分し、その他の飼養鳥は経過観察を行うことが規定された。

市側は設備とマニュアルの不備が悲劇を招いたものと説明した。しかし、殺処分時点で高病原性鳥インフルエンザの感染拡大防止措置を規定した「家畜伝染病予防法」において、白鳥は処分対象外。殺処分に法的根拠はなく、県から要請を受けた市の自主判断だった。

園内のペリカンは速やかに隔離措置が実施され、殺処分は行われなかった。市は感染したコクチョウがハクチョウ飼育エリアの白鳥湖内で見つかった為としているが、コクチョウの数日前に感染が確認されたキンクロハジロは、ペリカンの飼育エリアに近い地点で発見されている。

殺処分は感染拡大を目的として実施されるものだが、もともと常盤公園のハクチョウは周辺地域の生態系に影響しないよう切羽され、公園の外に出ることはできなかった。ペリカンは切羽されておらず、自由に飛び回ることができ、近隣の幼稚園や小学校に飛来することもあった。

宇部市民にとってハクチョウもペリカンも「宝」だが、市外の人間にはペリカンの「カッタくん」の印象が強いようだ。白鳥もペリカンと同じように、分離飼育を行うことはできなかったのか。東京出身の久保田后子市長や山口市に拠点を置く県担当者の判断には疑問が残る。

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