あるかぽーと開発事業の経緯 ホテル誘致、三度目の正直なるか

下関市は7日、下関港東港地区の「あるかぽーと開発事業」について、都市型ホテルを軸とした施設整備を推進する方針を明らかにした。同地への都市型ホテル誘致は、3回目の取り組み。長年の懸案事項が「三度目の正直」となるか、注目が集まる。

同事業を巡っては、当初、神戸製鋼所(神戸市中央区、TYO:5406)を中心とする開発会社「下関みなとまち開発」がホテルや商業施設を建設し、日航ホテルの誘致を予定していたが、唐戸地区の商店街が猛反発。平成19年3月に市議会が土地の売却議案を否決し、事業は頓挫した。

大和リースの開発提案(大和リース)

大和リースの開発提案(大和リース)

当時の江島潔市長は、市議会との合意や市民の理解を得られる計画を目指し、敷地条件を借地の賃貸契約に変更した上で、20年5月に再度事業者を公募。大和リース(大阪市中央区)の19階建ホテルや複合映画館(シネマコンプレックス)等からなる提案を選定した。

しかし、21年3月の市長選挙で当選した中尾友昭現市長は、公約で「あるかぽーとの芝生化」を主張。当選後に翻し、大和リースとの交渉継続を表明したが、事業が停滞する中で経済情勢が悪化し、同社は22年3月に撤退。次点事業者との交渉も進まず、再び計画は白紙に戻った。

下関みなとまち開発の商業施設で核テナントに内定していたイズミ(広島市東区、TYO:8273)は、JR新下関駅西側に21年12月、「ゆめシティ」を出店。唐戸地区の商店街による反対運動は、市郊外への大型商業施設出店を招き、かえって自らの首を締めることになった。

中尾市長はその後、10年間の「短期計画」としてアミューズメント施設の誘致や埠頭用地の一部芝生化を表明。23年11月に事業者を公募し、泉陽興業(大阪市浪速区)が選定された。同社は25年9月に「はい!からっと横丁」を開業し、現在までに約3年間営業している。

あるかぽーと地区は、隣接する岬之町地区とともに約44億円かけて造成された。下関市には大規模な国際会議や学会に対応できるホテルがなく、MICEや宿泊観光客を誘致する上で障害となっている。市の中心部に位置するあるかぽーと地区へのホテル誘致は喫緊の課題だ。

下関商工会議所の開発提案(下関商工会議所)

下関商工会議所の開発提案(下関商工会議所)

2回目の事業頓挫を受け、下関商工会議所は独自に開発計画の検討が必要と判断。岬之町地区も含めた周辺地域一帯の開発計画の提案書を取りまとめ、27年8月、市に提出した。あるかぽーと地区には、都市型ホテル、海響館新棟、関門歴史産業博物館等の整備を提案している。

地方都市にある大手ブランドのホテルは、地元資本がフランチャイズで運営している事例が多い。宇部市にある「ANAクラウンプラザホテル宇部」は、宇部興産(宇部市、TYO:4208)の子会社が建設・運営している。外部に頼るだけでなく、地元出資での開発も検討すべきだろう。


(記事編集:

おすすめ記事(Google提供)

宇部ジャーナルの最新記事