下関市長選挙 広く支持集めた前田氏、組織動員の中尾氏に勝利

任期満了に伴う下関市長選挙は12日、投開票が行われ、前下関市議の前田晋太郎氏(自由民主党推薦・自民党の所属党派証明書提出)が当選した。3選を目指した現職の中尾友昭氏、元市議の松村正剛氏は及ばなかった。投票率は前回比5.05パーセント増の47.09パーセントだった。

当選した前田氏は、安倍晋三内閣総理大臣の元秘書で、市議を2期務めた。選挙戦では安倍首相に近い県議や市議、昭恵夫人らの支援を受けつつ、2期続いた中尾市政からの転換を打ち出し、若年層や無党派層からも広く支持を得るなどして4万8896票を獲得した。

中尾氏は、林芳正元農林水産大臣の後援会から支援を受け、林氏の親族が出資するサンデン交通等の企業や団体による組織戦を展開した。選挙中は「市民派」を名乗り、50代以上の世代を中心に票を集めたが、得票数は前回選挙から約1万票減の4万5546票にとどまり敗退した。

松村氏は、前回までの市長選挙で中尾氏を支えた中心的人物だった。今回は同市安岡沖で計画される洋上風力発電所計画への反対を訴えて自ら立候補したが、前田氏と中尾氏による激戦が繰り広げられる中で埋没し、得票数は1万958票となった。

中尾氏が前回から減らした得票数と松村氏の今回の得票数が近いことを根拠に、松村氏が立候補しなければ中尾氏が3選できたとの恨み節も聞かれるが、松村氏の今回の支持層は「反中尾」がメインで、松村氏が立候補しなければ中尾氏の得票が大幅に増えたとは考えにくい。

前田氏は今回の選挙で、あるかぽーと開発の推進を掲げた。あるかぽーとは、下関市が関門海峡の一部を埋め立てて造成した開発用地で、江島潔前市長のもとで大和リース(大阪市中央区)が事業者に決定し、都市型ホテルや商業施設の建設が予定されていた。

しかし、21年3月の市長選挙で「あるかぽーとの芝生化」を公約にした中尾氏が当選。中尾氏は当選後に公約を翻し、事業者の大和リースとの交渉継続を表明したが、交渉が停滞している間に経済情勢が悪化し、同社は22年3月に事業から撤退した。

中尾氏はその後、10年間の短期計画として芝生広場とアミューズメント施設を整備する方針を表明。都市型ホテルの誘致等は「長期計画」として先送りしていた。今回の市長選挙で中尾氏は「都市型リゾートホテルの誘致」を掲げたが、有権者は前田氏への交代を選択した。

江島前市長は強いリーダーシップで多くの大規模事業を推進したが、あるかぽーと開発は市民や議会との合意形成に課題が残った。前田氏は当選後の会見で「謙虚に、丁寧に、順番を間違えずに説明し、理解をいただきながら進めていきたい」と述べ、合意形成を重視する方針を示した。

前田氏は今月27日に初登庁し、4年間の市長任期が始まる。

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